妄想北斗の拳

妄天の拳です。北斗の拳のイフストーリーを南斗聖拳シンを中心に妄想してます。

2020-01-01から1年間の記事一覧

123.

「最強にして一子相伝の暗殺拳北斗神拳の伝承者争いに敗れた者に待つのは、拳を砕かれるか、記憶を奪われるかの運命。命を奪われることもあったであろうが、場合によってはその方がマシかも知れんな」 南斗聖拳にあって一子相伝を謳うのは最強鳳凰拳のみ。た…

レイ14

一週間が経った。 旧世界では、それなりに大きい公園だった森の中で、今は点く筈のない街路灯の上に片足で立っている。鳥の声、蝉の声さえ聞こえて来る。世界は滅びた、というが、そうではない。世界を支配した気でいた人間の世界が滅びただけだ。管理されて…

122.

扉を開くとまた薄暗い石の通路が続いていたが、バルバに合わせた遅い歩でも一分も経たない内に円筒形の広い石室に繋がった。壁面には篝火が並び、室内を明るく照らしている。中央には台座が据えられており、その上に置かれているのは等身大の男の石像だった…

レイ13

手合わせだったにしても、それは決して「ただの」手合わせだったのではない。こちらとしてもトキを殺めかねない力を出し、そして俺も、この命を失いかねない戦いであることを覚悟した。その割に、かつて栄えた時代の跡を少しだけ残しているホテルのロビーに…

レイ12

自分のものにしたわけではないが、トキの拳技の深淵を覗くことはできた。最低限の理屈は知れた。だが、この戦いは終わっていない。「もうわかったトキ。ありがとう」で終わる筈はない。これは曲がりなりにも北斗南斗の勝負。決着は付かねばならない。北斗南…

121.

闘技場を抜けて更に奥へ、石に囲まれた道を進んで行く。異臭が混ざる空気が煩わしい。 「北斗の善を覆す?」善とは言ってもあくまで闇世界という枠組みの中の話だが、確かにその枠の中では北斗神拳伝承者というのは善の部類に入るだろう。少なくともシンはそ…

レイ11

南斗聖拳は破壊を究めた流派だが、決してそれだけの拳ではない。もしそうだとすれば、北斗神拳の秘孔点穴をも否定しかねない拳圧だけで岩をも穿つであろうラオウの剛拳は、南斗聖拳の存在価値を根底から全てを根こそぎにするだろう。 トキを前にして隙だらけ…

レイ⑩

俺は天帰掌を解き、前方への警戒に特化した構えに移った。トキは両手の高さをずらし、掌をこちらに向けている。空気の流れを探しているかの様。まさに受けの構えだ。俺の構えに形は似ている。違うのは俺が足捌きに重点を置くため身体を浮かしているのに対し…

120.

「北斗神拳も、はじめから北斗神拳であったのではない。元は北斗宗家にまで遡る」シンはバルバとともに闘技場をぐるりと廻っている。 「北斗宗家、、、」南斗聖拳六将の一人であるシンでさえ、この名は噂程度にしか知らされていない。 北斗神拳即ちリュウケ…

レイ⑨

運命の三日目。幸いなことに、そして当然と言えば当然なのだが、俺の身には何の変化もない。ただ、今日はトキとの手合わせがある。手合わせと言っても、そんな生易しいものに終わるかは不明だ。 早朝、ケンシロウは村を出ると言い残し、特に向かう先もない旅…

一応

漫画作品「北斗の拳」と「蒼天の拳」は完全に繋がっているかは不明?でしょうか。 今回のリュウケンやジュウケイ、カスミケンシロウやテッシンの設定はそのまま拝借しましたが個人的には北斗と蒼天は酷似した異世界の話と捉えています。 南斗聖拳は北斗神拳…

119.

史上二人目の南斗聖拳伝承者だと?「どういう意味だ?」 「答えを焦るでない。それはまだ確定した事実でもないのだから」「何が言いたいんだ?」「ここでどう過ごすか、、、それがそなたに聖なる拳が授かるかどうかの鍵となろう」 ここで過ごさせるつもりら…

レイ⑧ ユダの手下たち

「なあ、最近ユダ様どうしたんだ?」「オメエも思ったか? そうなんだよな。あ、オメエ髪にハエが入り込んで出られねえみてえだが」 「お、ホントだ。なんか煩えなと思ったよ」「まさに五月の蝿だな」 「ん?今五月だっけ?」「さあな。んなことはいいんだよ…

レイ⑦

明くる日。居場所を失った俺は一旦この村を離れることにした。 ラオウがまだこの村を狙っている可能性はあるが、それを話したところでケンシロウは好き勝手動くだろう。それどころか特に当てもなくラオウを探しに旅立つこともあり得る。だが、、、トキなら話…

118.

「南斗聖拳は恐ろしい暗殺拳ではあっても、神が定めた人間の限界を破る、まさに聖なる力だ。同意であろう?」 シンは、先ずは黙って聴くに徹した。南斗聖拳には誇りを持っている。それがシンという人間を形成するほとんど全てと言っていい。しかし、どの角度…

レイ⑥

「マミヤ」 成果の出ない鍛錬をぶっ続けたその日の夕刻だった。先ず俺がやるべきことはマミヤを気遣うこと。それ即ちあの男と対決するということだ。「何?」今更ながら女という生き物には驚かされる。こちらは南斗水鳥拳の拳士。牙一族との戦いで俺やケンシ…

117.

「よくぞ来られた。南斗聖拳唯一の伝承者、、、現在のな」真ん中の男が小馬鹿にする様子で話しかけて来た。両脇の男たちもヘラヘラしていて薄気味悪い。三人ともニヤけた面の左目の下には殴られたような痣があり、身体の運びにも壊れかけの機械地味た不自然…

レイ⑤

早朝、、 今のところ辺りに人の気配はない。村から少し離れた森の中で見つけた透き通るほど綺麗な池。魚の姿も見えている。自然の回復力は人間の思うよりも遥かに高く、確実に元の状態を取り戻して来ているようだ。、、、この森を生活圏にする人間がいないと…

116.

「ここです」 どう見てもただの荒くれ者たちが徘徊している不穏で殺伐とした街の中、蝙蝠がクルマを止めたのは、特にどうということはない小さめの建物だった。武装した荒くれ者たちに目で挨拶すると、彼らも軽く肯いたり手を挙げたりと、蝙蝠に応える。 「…

レイ④

「トキ、話がある」俺はこの奇妙な現象をトキに相談することにした。相談するにはちょうどいい清々しい、、、と言っていいのか、そんな夜だ。 「まず、、これから俺が言うことは冗談ではない。だから、真剣に聴いてほしい」「わかった」すんなりとトキは聴き…

なんだかんだで続けるレイ③

更に少し遅れてトキと、そしてマミヤが姿を現した。 「マミヤ!」俺は駆け寄った。まさかマミヤに再会できるとは思いもしなかった。全てを、自分の死さえを受け入れた俺だが、今の俺では生に、命にしがみつきたくてしょうがない。 「レイ、流石にあなたの南…

レイ②

「退がっていろ」レイはアイリたちに命じた。あの時の通りなら拳王ラオウはこの道から現れる筈である。 ズオォ、、、、、重い圧力が迫るのを肌で感じた。 (巨馬に跨る黒い兜を被った巨体の男。上等な黒いマントの裏地は赤。あのマントに決死の奥義を破られ…

115.

「それならだいたい予想はつきます。ほとんど確信的にです。ただ確定できる材料がないだけで、この考えに自信はあります」謎の男、そうでなくば謎の組織か、、、帝都の有力者というナンフーのことを訊いていた。 「ナンフーとはナンフ「ウ」、、つまり南風。…

114.

「ところでシン様、、、」仮の隠れ家に戻る車内、蝙蝠はそれまでの雑談とトーンを変えて話を振った。 「最近シン様に接触してきた者たちはおりましたか?」「お前だけだよ」と、とりあえず冗談めかしてシンは答えた。 「ケンシロウ様とファルコ様の戦いの後…

113.

ファルコに会うことはできなかった。シンが帝都を訪れるのとほぼ同時にファルコは旅に出たと、従者を名乗る少年は答えた。 「私には行き先を教えてくれませんでした」 本当かどうかはわからない。だが、嘘をついているような兆候は一切現れていなかった。そ…

112.

「それには賛成致しかねます。シン様」わりと珍しい真顔で蝙蝠は答えた。 あれから四日経っていた。シンは南斗聖拳の拳士でありながら、、、風邪をひいていたのだ。高熱にうなされ、身体は激戦によるダメージが深く、そしてそれよりも、恥辱に塗れた敗北感が…

レイ①

暗くて何も見えない。狭苦しいチューブの中をもがきながら進む。そんな感じだった。正確に言えば自分から前へ出ずとも勝手に押されるようにして先へと進んでいる。やがて小さな光が見えた。それが徐々に迫って来る。あの光が出口。そうに違いなかった。 そし…

111.

遠くから聞こえる爆発音で気が付いた。 朝だった。止むかに思えた雨はまだ降り続いており、彼の体温を奪い続けている。 寒い、、そう感じたのはいつ以来か。それよりも、これほど深く寝てしまったのもかなり久しぶりだった。ケンシロウに敗れ身を投げたとこ…

オマージュ、参考にしたのは

パクったのではなくオマージュです苦笑 今やクソスレと化した本スレに書き込みたくないのでこちらに。 ガルゴの最期は映画「ブレードランナー」からです。 特別好きな映画ではありませんが、コアなファンが多い映画でディレクターズカット版など数種類のヴァ…

110.あの映画とある曲のオマージュ

シンよ!よくぞ避けた。まだ終わらないのだな。よくぞ躱した。まだ終わらせるつもりはないぞ。 ジタバタするな! 見苦しいぞシン!そうだ、慌てふためけ! 見苦しいぞ!シン! ブォン!黒い氣の鞭がガルゴから発せられ、直前までシンが這いつくばっていた場…