妄想北斗の拳

妄天の拳です。北斗の拳のイフストーリーを南斗聖拳シンを中心に妄想してます。

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

22.

部屋の外ではリゾが中の様子を気にして終始落ち着きがない。 先程一瞬だけ南斗の氣が発せられている。まさかシン様は聖帝様を討ちに来たのか? 南斗の帝王サウザー様が簡単にやられるとは思わないが、、、平静を保とうと努力するリゾだが、側(ハタ)からみ…

21.聖帝

警護隊統括責任者リゾは慌てて聖帝の居室に向かっていた。 今日は夜間ではなく昼間の警護である。最早聖帝本体に攻撃を仕掛けるような敵はいない。それなのに彼は急いでいた。 「聖帝様!失礼いたします!」危うくドアを蹴破るところだったが、冷静に考えれ…

20.

犠牲となった者たちの埋葬が終わった。女たちがその上に花弁を撒いていく。 「とりあえずはこれで勘弁してくれ。落ち着いたらちゃんとした墓標を立てるからな」と高齢の男が手を合わせた。周りにいた者たちもそれに合わせるようにしてしゃがみ込んだり膝を着…

19.

残る一人。だがタジフのその目に恐怖の色はまるで見えない。 タジフの戦いぶりは凄まじいものだったが、あくまで肉と骨の力だ。それを超える力は微塵も感じていない。南斗聖拳を取り戻したシンにとって敵ではない筈だ。だがその落ち着きが気になる。クズども…

18.

「花さん、リマ。自らの命も顧みず、勇気を示した者たちよ」 敵に囲まれているにも関わらず、静かで穏やかで、優しい顔だった。「そして自分たちよりも強いこの野蛮な男どもに立ち向かった戦士たちと、この恐怖に耐え続けた者たち」と村人たちを振り返る。「…

17.

「大丈夫よ。きっと神様が助けてくれるわ」 泣く子をあやすように優しく語りかける母親。少しも助かるとは思っていない。奴らに苦しめられ辱しめられるよりいっそのこと、、、。手には短刀が握られている。 「いやあ楽しいなあ!略奪と殺戮こそ正義の味方に…

16.

「んだあ!てめえは〜!!」 本能的にシンの威圧にたじろいだ賊たちだったが、彼らの狂気がすぐにそれを上回った。狂気の笑みのまま斧を振り上げ突進してくる賊に鋭い一突きを入れる!相手が走ってきた勢いで槍は突き刺さったが、予想以上の重さだった。この…

15.

川か。川の中を。村の中を流れる川の中を通って奴らは入り込んで来たのだ。もちろん鉄格子で侵入を防ぐための処置はしてあったが、それが外されている。致し方あるまい。人間の危機感というものは時が経てばどうしても薄れてしまう。杜撰な危機管理と言わざ…

14.

リマとコミュニケーションを取るのは難しい。何を話そうにも共通の話などあろうはずはない。それよりも、彼女は言葉を失くしていたのだ。 両親との辛い別れが、特に父親との凄惨極まる別れがその幼い心に深い傷を刻んだのだ。だが、今ではただ近くにいるだけ…

元は旧2ちゃんねるでした

https://itest.5ch.net/medaka/test/read.cgi/csaloon/1523434486 ここからジャンプして下さい ※当然ながら過疎ってます そろそろ落ちるかと思われます

13.

この村の連中も、戦士とはいえ元は真っ当な人間の集まりである。だからこそ彼は自分が異質であることを感じないわけにはいかない。 いや、正確にはそうではない。彼自身が「普通」の人間と同一線上にいる現状を認めたくないだけだった。しかし、その普通と彼…

12.

「オヤジあんた本気でそんなこと言ってんのか?」 どれだけ非情なんだ。俺の認識が甘かったのか?これが北斗神拳の道なのかよ。北斗の道に甘えはねえってか。「この役目はお前でなければ出来ない。お前だけだ」ふ、、そうかい。やっぱり俺はケンシロウの生き…

11.兄

鏡の前でポーズを作る。表の世界のメディアなど斜めに見ているが、そんな無芸有名人の見た目の良さだけは認めるときもある。服の乱れを直し改めて鏡の中の自分と向き合う。 人気のあいつらと比べるとちょっと人相は悪いが、なかなかの男前だ。今日も決まって…

10.

この時代、全員が全員その日常を営みつつも戦士であるという側面が求められている。 理由は明白だ。 時代を考えれば警戒や守備は当然すべきことであるし、備えも万全を期すべきだが、それに加え具体的な敵がいるということだ。それがタジフという男を中心に…

9.

今思えば洗脳だったのだろう。神が見捨てたこの世紀末にあって「神は我々を選んだ」と説く大佐こそが彼にとっての神だった。洗脳でも全く構わなかった。愛する者たちを失い一人になった彼にはこの星のどこにも生き場所はないが、自ら命を終わらす気もない。…

8.タジフ

身長は190くらいある。それよりも横幅の広さだ。顔はでかいが、それを支える首の太さが普通ではない。岩だ。岩を彷彿とさせる、それがタジフだった。 拳王侵攻軍に配属されているが、拳王ラオウが聖帝サウザーとの睨み合いを続けている現在、中央から離れた…

7.村

「どこから来た? どこへ向かう?」薄暗い一室に入ると、決して威圧的ではない落ち着いた声で女が訊いてきた。「あてはない」両脇を抑えられながら生気に欠ける声で短く返答した。しかし、この短い一言が全ての真実だった。 「花さん、タジフのところのスパ…

6.警護責任者

「聖帝様!お休みのところ無礼をお許し下さい!」 ドアを蹴破る勢いで入って来たのは、この夜の統括警護責任者リゾである。非常時かも知れないが複数で聖帝の寝室に押し入ることには抵抗があった。それで他の兵たちは外に待機させ彼だけが飛び込んで来たので…

5.

シュバ! 血飛沫が舞い、蝙蝠の顔面に正確な十字が刻まれた。両目の下を真横に、顔の中央を縦に。眉間、鼻、人中、唇、顎の先端まで綺麗に南斗の帝王の裂気が鋭く通って行った。 不意を突かれたというのはあるが、警戒を怠ったつもりはなかった。その速さが…

4.

元は高層ビルであり、寝室は以前ガラス壁であったものを取り払った開放されたスペースである。 今夜は非常に穏やかで、時たまビル風が入り込むが、ほのかな香を吹き払うまでではない。 今この部屋を満たすのは香ではなくサウザーの威圧感である。しかし蝙蝠…

3.蝙蝠

広い部屋の中央にそのベッドがあった。無駄な装飾もなく、飾られる像の類もないシンプルな部屋で、広さを埋めるものがない。床面はキレイに磨き上げられ、壁面にある燭台の柔らかい灯りを反射している。 新しい世界の夜はまさに静寂であるが、この部屋の周り…