妄想北斗の拳

妄天の拳です。北斗の拳のイフストーリーを南斗聖拳シンを中心に妄想してます。

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

70.

「まさかとは思うが、南斗六聖拳とあろうものが逃げ回ることを奥義とでもしているのか? 最高峰でもこの有様。やはり数が多ければ質の低下は免れん」 安い挑発。挑発をして来ても苛立って来ているのがわかる。今まで人を顎で使うが如くにその場で光弾だけ撃…

69.

「どうした? 臆したのか?」と言いつつもボルツも無駄撃ちはしない。この中間距離ではこの素早い南斗の男に当たることはないと理解した。至近距離での初弾を凌いだこと自体がこれまでに出会った南斗の者たちとは異なる。中距離でさえもまともに回避出来た者…

68.

開始の一線は超えたが未知の相手元斗皇拳に対して速攻を仕掛けるほど今のシンは迂闊でも自信過剰でもない。ボルツもマントを大袈裟に翻しながら四駆車から億劫そうに降車した。シンを侮れぬとは認めつつも、南斗聖拳は下流の雑多な流派に過ぎないという思い…

67.

「名乗らずともわかる。南斗の男か。これまでの雑魚とは違うようだ、少しは」「似合わないその青服に身を包んだデクの棒が元斗皇拳か」ダークグレーの革ジャンが似合うシンも軽口で言い返すが、見た瞬間から温度が上がってしまっている。うなじが騒つく。本…

66.ダン

「!」 感じた。微かに氣の放出があった。近い。「先に行くぞ」シンは走り出した。南斗聖拳の調気により、獣のようなスピードで疾走する。戦闘用ではない移動用の軽功術だが、とっくに常人の全力域は脱している。 風向きが変わる。人の匂いがする。多数且つ…

65.

ガス欠前に四駆を大きい建物内の展示場だった広いスペースに乗り入れた。シュメの男コダマは四駆を奥に駐め目立たないよう入念にカバーした。状態が良い自動車は稀少だ。次いで広いスペースの一角で火を起こす。手慣れている。 新世界と言われて久しいこの時…

64.

「俺だ! 俺は南斗聖拳108派の一つ! 南、、」男が名乗り出て立ち上がった瞬間、ボルツは右手を自分の顔の高さに上げ氣を込めた。その手を青い優しい光が包み込むと、その手を男に素早く伸ばした。ヴン!「うっ!!」放たれた青い光が男の胸を強打し、その衝…

63.ボルツ

高い建物の残骸、以前の繁栄の跡はそこかしこに寂しく聳えている。放射能の影響どこ吹くかぜとばかりに草は伸び放題である。 しかし、戦争の爪痕は深いとはいえ住居として再利用するのには十分すぎるほどだ。 戦争被害者の遺骸が放置されたままの部屋もある…

62.

南斗聖拳108派はほとんど全てが戦争の災禍を生きて通過している。前以て情報を得ていたからだ。シンは南斗六聖拳と一部の上位流派しか「南斗聖拳」とは認めないが、それでも南斗の名に対して外部から攻撃があれば、それは許せることではないという思いは持っ…

61.

「キング! また来月やろうぜ」「この顔見ろ。半年後だ」 バトルキングとさえ称えられるシンの動きはブラウニーブルを翻弄した。ブルの打撃を見切り、掴みに来ても華麗な足捌きでそれをかわす。そして避けた先から「起こり」のほとんどない掌底打ちや前蹴り…

60.時は経ち

「ようやくか」 砂漠と言ってもいいような荒野の中にその小柄な男は目的の街を見つけた。身を守る術はあっても、単身この瓦礫と砂地の繰り返しを旅するのはシュメの人間であっても過酷なものだ。 バイクは途中で故障し乗り捨てねばならず、到着は本人が立て…