妄想北斗の拳

妄天の拳です。北斗の拳のイフストーリーを南斗聖拳シンを中心に妄想してます。

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

レイ18 ユーディーン③

「貴様が顔を出すとは珍しいな。ユーディーン」と、帝王は顔も向けずに言い放った。聖帝の紋章が刺繍されたマントが風で揺れている。この男こそ生まれついての帝王だ。 一度この男の失脚を謀ったが、容易く覆された挙げ句に、、、そして赦されている。言うま…

126.

中は思ったよりも狭い。 もっと如何にも、、、なものを想像したが、まさにただの小さな書庫に過ぎなかった。石造りの部屋なのは同じで、中央に木製の本棚があるでもない。壁面に窪みがあり、そこに古い本が並んでいる。これらの本が何を記しているかは想像を…

レイ17 ユーディーン②

二人目、、、ここで意外だろうがレイの名を挙げる。 南斗紅鶴拳と南斗水鳥拳は地理的にも比較的近く、そして先代伝承者同士もそれぞれ六将の一人でありながら懇意な間柄にあり、下部流派を含めての交流があった。 レイのことはもちろん元から知っていた。お…

125.

「もう石像は見飽きた頃か? 場所を移そう」と言い、バルバはこの円筒状の石室の奥扉を開けた。先にはまた薄暗く広い石道が続いている。 「北斗神拳もまだ現在ほどの力は有していなかった。それでも間違いなく並ぶもの無き最強の拳。それと互角に戦い、力を…

124.

「聖十字霊拳、、、」 シンでさえ聞いたことがない名であった。これを鵜呑みにするのも如何なものかとは思うが、バルバがそんな嘘を吐いてどうなるのか、とも思える。 「なるほど、、、南斗六星を己の象徴としながら、何故に紋章は十字形だったのかわかった…

レイ16 ユーディーン

もし、俺のここまでの半生で、転機となった人間を挙げろと言われたなら、それは三人、そしてもう一人特別な人、と言うだろう。 そのもう一人と言った特別な存在、、、、南斗聖拳を身に付け、組織の頂点である六聖拳の一人にまで上り詰めた俺でも、誕生の時を…

レイ15

単騎、、村を訪れたのはたった一人の男だった。かなり久しいが、俺はその男に見覚えがある。長身の身体は鍛えられており、短い銀髪でその目は鋭く、物事の本質を見抜くかのように冷たく光っている。 「リュウガ」トキもこの男を知っているようだ。「久しぶり…

123.

「最強にして一子相伝の暗殺拳北斗神拳の伝承者争いに敗れた者に待つのは、拳を砕かれるか、記憶を奪われるかの運命。命を奪われることもあったであろうが、場合によってはその方がマシかも知れんな」 南斗聖拳にあって一子相伝を謳うのは最強鳳凰拳のみ。た…

レイ14

一週間が経った。 旧世界では、それなりに大きい公園だった森の中で、今は点く筈のない街路灯の上に片足で立っている。鳥の声、蝉の声さえ聞こえて来る。世界は滅びた、というが、そうではない。世界を支配した気でいた人間の世界が滅びただけだ。管理されて…

122.

扉を開くとまた薄暗い石の通路が続いていたが、バルバに合わせた遅い歩でも一分も経たない内に円筒形の広い石室に繋がった。壁面には篝火が並び、室内を明るく照らしている。中央には台座が据えられており、その上に置かれているのは等身大の男の石像だった…

レイ13

手合わせだったにしても、それは決して「ただの」手合わせだったのではない。こちらとしてもトキを殺めかねない力を出し、そして俺も、この命を失いかねない戦いであることを覚悟した。その割に、かつて栄えた時代の跡を少しだけ残しているホテルのロビーに…

レイ12

自分のものにしたわけではないが、トキの拳技の深淵を覗くことはできた。最低限の理屈は知れた。だが、この戦いは終わっていない。「もうわかったトキ。ありがとう」で終わる筈はない。これは曲がりなりにも北斗南斗の勝負。決着は付かねばならない。北斗南…

121.

闘技場を抜けて更に奥へ、石に囲まれた道を進んで行く。異臭が混ざる空気が煩わしい。 「北斗の善を覆す?」善とは言ってもあくまで闇世界という枠組みの中の話だが、確かにその枠の中では北斗神拳伝承者というのは善の部類に入るだろう。少なくともシンはそ…