妄想北斗の拳

妄天の拳です。北斗の拳のイフストーリーを南斗聖拳シンを中心に妄想してます。

2020-01-01から1年間の記事一覧

109.

「そして、これが最後の一撃となろう」 ゆっくりと近付いて行く。ガルゴはシンが動けないのを知ってゆっくりと近寄って行く。 この世に斬れぬものなし!黄光刹斬!南斗聖拳よりも斬れ味鋭い我が拳、とくと味わうがいい。 斬られたことにも気が付くまい。ゆっ…

108.

スッ、、、 ガルゴの重ねた掌が、、右手を上にして横に寝かせた合掌が、、シンの胸の前に伸ばされていた。ガルゴの氣を発しない無想の行動であったがため、シンはその気配に反応できなかった。加えて、氣を発しないとなるとほとんど暗闇の中ガルゴの動きを見…

107.

彼の敗北は、自身の死だけでなく南斗聖拳の滅亡を意味する。天では死兆星がシンを凝視している。そんな状況にあっても、今のシンはあり得ないほどに落ち着いていた。落ち着いているというよりもまさに無心状態。一つのことにのみ集中できていた。 ガルゴの間…

106.

シンに向き直ったガルゴを包む光が徐々に輝きを増す。同時にその光の中に黒い影も色濃く映える。 ガルゴの顔を伝っていた雨は氣膜に弾かれ彼の巨体を避けて降り落ちる。 「影力、、、今のがそれか?」 シンの問いにガルゴは無言で頷いた。そして言う。「無心…

105.

シン、、、それは痛恨のミスだ。 宙に舞ったお前を氣弾で撃っても拉致が開かない。知っている。直接に滅殺の拳をねじ込んでも、シンお前は宙にて躱す技を持っている。でないなら、身動きの出来ない宙に飛ぶ理由はない。しかしお前はさっき、ほんの触りだとし…

104.

「じゃあ、、行こうか、ガルゴ」 火は点いた。気持ちは熱く燃え上がっている。真紅の殺意が氣の刃に変換される。死兆星を意識していなくはない。ただそれよりも心が闘志で満ちている。 「ありがたい」シンはまた同じ言葉を呟いた。 身を低くする。ここから更…

103.

悲しみが俺にこの無心を会得させた。いや、多くの屍を越え、くぐった死線の先に辿り着いたのがこの場所だった。全ての拳技を究めるのは必要最低限の条件。そこに悲しみを知ることで更なる脳の未知の領域を覚醒させる、、、のだろうか。それは俺にも分からな…

102.回想

「ケンシロウ、、、」 師父リュウケンの脇でケンシロウとジャギによる、実戦を見立てた激しい組み手を観ていた北斗の次兄トキは、末弟ケンシロウを案ずるあまり思わずその名を呟いた。 「ケンシロウの力は本来ジャギを超えている筈。なのにケンシロウは兄で…

101.

「やけに空を気にしているな、シン」「、、、」 ポツ、、ポツリ、、「む、、雨か」雨滴が心に染みる、そんな顔をしている。雨はすぐに本降りとなって二人を濡らして行く。「雨を、、待っていたのか?シン」 雨、、この水を使えば伝衝裂波の効果を増すことは…

100.

ススッ、、、ガルゴの巨体が先ほどと違い静かに疾り出た。速い!速いが気持ちを瞬時に切り替える。もっと速いサウザーを知っている。 その速さを身に付けた俺がいる! ガルゴが泰山天狼拳を思わせる、しかしそれよりも遥かに破壊的な金色の闘気を伴う何もか…

99.

「俺はガルダと共に戦場を駆け、南斗神鳥拳を見ているが、拳士として向き合ったわけではない」 ガルゴの金色の闘気に変化がある。光と共に陰がある。金色と黒色が混ざり合っている。 「他にも南斗を名乗る男と対したことはあるが、どれも名だけが南斗の者た…

98.

「お、お前は!?、、ブレイ!」 何故だ!? 何故にお前が?? 「フハハッ! 流石ガルゴ。化け物め!」そう言いながら銃口を向けているのはかつて友と呼んだ男ブレイだった。長く癖の強い黒髪と色白な肌は少しも変わっていない。少数精鋭で構成された自軍兵…

97.

互いに必殺の間合いを取れないため、可能な限り有利にことを運ぶべく、南斗元斗による拳の駆け引きが続いた。 シンは氣の消耗が大きい元斗の疲労を誘い、ガルゴは素早い南斗の脚が止まる隙を待つ。、、、、拳を交わしてはいるものの、凡そ10分という南斗元斗…

96.

「面白い! さあもっと見せてみよ! 南斗聖拳を!!」とガルゴが詰める!ガルゴもいよいよ高揚して来ている。 「良かろう見せてやる!」シンが素早く前進し間合いを詰める!! ※2ページ目表紙シンの直立した後ろ姿背中にも刻まれている十字型に撃ち込まれた…

95.

※1ページ目表紙柱以外ほとんど何もないフロアまだ構えずに待つシンとやや前傾姿勢で歩み寄るガルゴ背景には光を放たない巨大な帝都 ガルゴが詰めて二人の「長い手」の間合いを割った。だが、両者共にその長い手を用いない。様子見など要らない。先ずは確かな…

94.

※1ページ目表紙引きでケンシロウとファルコの戦いバックは帝都の一部分と二つに割れた天 「あの二つに割れた天の意味がわかるか?」ガルゴがシンに問う。 ケンシロウとファルコ二人の闘気がいかに強大でも、天空の分厚い雲をここまで分断させるのか?似たよ…

93.

第三エリア。 帝都から最も近い大型の街で、衛星都市の役割も持っている。ただ、この場合の衛星都市とは都市機能としてのものではなく、文字通り「衛星」、衛る役目を意味していた。しかし、兵士の大部分は北斗の軍来襲のために駆り出されており、たまに見か…

92.

北斗の軍は既に帝都の最終防衛ライン(急遽定められた)付近にまで進軍して来ていた。ケンシロウを先頭にしたその軍勢を止める術はなく、そして帝都内においてもボルツ、ソリアの将軍が敗れるという未曾有の事態が混乱を加速させている。さらに追い討ちをか…

91.

「それは楽しみだ。俺の見立てではアンタは俺より弱い。そしてガルゴは俺よりも強い。前にも言ったが勝負は見えている」 度重なるシンへの挑発だが、今この男を敵として見ることができない。どうにもこの挑発や歪んだ性向には訳ありな気がしてならないからだ…

90.

「ガッカリだ。こんな男を南斗聖拳と呼ばねばならないあのジジイどもにも、こんな男に南斗聖拳を託したあのユリアにも、、、!!」反射的にガルダは退いた。殺気が鋭い。見えない数多の刃が二人の間の空気を斬ったかのようだ。 「ハッ、全く激しいな。あのジ…

89.

シンには帝都攻め参戦の理由はない。 南北の一体化が巨大な力を持つのなら、ここでケンシロウの前に姿を見せ協力を申し出るのも他人目線なら面白いだろう。北斗の軍の連中も、北斗神拳伝承者のみでなくそこに南斗六聖拳の生き残りが加わるとあれば彼らの戦意…

88.

「まさに混沌としている、というやつだな」 帝都内では兵士たちが、北斗の軍と、それより何より将軍ソリアを倒した北斗神拳伝承者の接近を前にして、これまで類を見ない慌ただしさで軍備を進めていた。ルール無用の厳しい乱世を生き抜いてきた者たちも一応の…

87.ケン

ケンシロウの「来い」を合図に紫色の戦士たちが一斉に襲い掛かった! 一番乗りの戦士が槍を全身これまでの最高の力と速さで突き出す!が、ケンシロウは表情を変えることもなく、瞬きさえもせずに手で軌道を逸らす。その手は速く、そして静かで柔らかい。「!…

86.残兵

ケン、、、 ケンが負った傷は決して軽くはない筈だ。なのにこの数日だけで傷が塞がっている。今更だが一体どんな人間なんだ。まさに超人だ。それが北斗神拳伝承者なんだな。 「バット」「ケン」「待たせた。行こう」と、ケンシロウはいつもの袖なしライダー…

85.

リンとバット、二人の若く勇猛なリーダーが軍を率いてこの村を去って後、彼はいつもこの小高い丘に座し、遥か中央帝都の方角を眺めている。最早、第一線にて軍師としての才腕を奮うことは困難である。年齢的な問題もあるが、ラオウとの戦いで深い傷を負って…

84.

数ヶ月前、、、 バシッ! ビシッ! ガッ!「愚か者め! 貴様に任せたのが間違いだった!! 全くこの役立たずめ!!」ファルコは氣を張らずにジャコウの鞭を黙って無抵抗のまま受け続けている。怒り狂える総督ジャコウの後方には異様にゴツゴツした二人の筋肉…

83.ショウキ

シンが立ち寄ったそのエリアは住人たちに落ち着きがなく、いやむしろ急速に騒乱へと変化しつつある状態だった。騒乱の勢いに右往左往する一人の老女を捕まえ、落ち着かせてから理由を聞いた。話によると、帝都への反乱軍が北から規模を増しつつ押し寄せて来…

82.ソリア

帝都の将軍の一人、紫の闘気を操る元斗の戦士ソリア。闘気の色味に合わせた紫の衣服と上級なマントに包まれた強靭な肉体の持ち主。かつてファルコとの戦いにより失った右目は帝都の紋章が施された黒い眼帯で隠されている。 そのソリアの元にある報せが舞い込…

81.花慶オマージュ

「どうだった。南斗の荒鷲は」 相変わらず腐臭が漂って来るかのような声だ。そして腹が立つのがこいつらの多くに共通した不気味な動作だ。頷きが非常に多く、手首もカクカクと動かし続けている。更にもう一つ、こいつらの黒いローブのフードで隠れた顔に特徴…

80.

急ぐでもなくシンは中央帝都に向かっていた。 急ぐ理由もない。 途中の大きな街で食糧と水を買う際、その時にある噂を耳にした。 西の中枢郡都、、、、市都(シティ)よりも強固ではないかと噂されたその郡都(エリア)が陥ちたというのだ。その郡司令は闇世…