「なあ、最近ユダ様どうしたんだ?」
「オメエも思ったか? そうなんだよな。あ、オメエ髪にハエが入り込んで出られねえみてえだが」
「お、ホントだ。なんか煩えなと思ったよ」
「まさに五月の蝿だな」
「ん?今五月だっけ?」
「さあな。んなことはいいんだよ」
「おお、そうだった。長髪を強制すんのやめてもらいてえよな?」
「違うだろ。ユダ様の話だろが」
「おおよ、おおそうだぜ。そうなんだよ。毎夜ユダ様と来たら美女たちと宴だったろ?」
「ああ、羨ましいよなぁ。極上のワイン、極上の飯、極上の女たち。残飯にあり付けりゃあラッキーだ」
「女といやあこないだの傷のできた女、どうなった? デコに傷付けられたあの黒髪の美女様はよ? ユダ様にバレたら俺らの餌食だぜぇ?」
「よだれ、、全く。ユダ様の手下なら知性を磨けよ」
「嘘こけ!お前さんも楽しみしてんだろ!?」
「バカ、声でけえよ。どこでコマク様が聞き耳立ててるかわかんねえぞ?」
「おお、そうだな。んであの女最近見ねえけど、やっぱ棄てられて男どもの餌食になったんか?」
「女の話ばかりかよ。それがなあ、あの女、所謂「ユダの女」から出されずに済んだらしい」
「はあ!マジか! 残念!」
「バカヤロウ、オメエ。荒野に放流されたところで生きていけるわけねえだろ? 良かったじゃねえかよ」
「何言ってんの?お前さん。極上の美女をみんなでクルクルやって、んでその後のこたぁ知るかよ」
「外道だね、オメエは。いいか? 問題はそこじゃねえ。あのユダ様が顔に傷を拵えた女を棄てずにまだお世話係に置いてるってこと。それが問題なんだ」
「随分と小面倒臭いこと考えるんだねぇ、お前さんは。気まぐれだよ、ただの。お気に入りだったんじゃねえの?アソコのお世話が上手いとかよ」
「オメエ何言ってる?オメエもユダ様ここ数日おかしいって思ってたんだろう?」
「おお、確かにそうだな。いつもならカツカツカツカツ靴を鳴らして歩き回って忙しそうにしてるのが、昨日今日と部屋に女も入れず引き篭もってる」
「あのユダ様が」
「まぁ〜よ、まだ二日くらいなもんだろ。もう少し様子見ようぜ。あの人の知略とやらに俺らは賭けたんだしな。何か大きなことでも考えてるんじゃねえの?」
「ああ、力の世の中に敢えて知の光を!って話だもんな。上手くいきゃ、俺たち官軍だぜ。もっと上手くいきゃぁ幹部もあるぜ」
「ねえよ」
「ねえな」