妄想北斗の拳

妄天の拳です。北斗の拳のイフストーリーを南斗聖拳シンを中心に妄想してます。

59.蝙蝠

シン様、、、
実は一点、お伝えできないことがあります。


南斗聖拳というものは、もちろん北斗神拳もそうですが、「強さ」という点では、常人がどれほど鍛えようが足掻こうが、その域に達することは出来ません。
それほど奇跡的な現象と言えるでしょう。
しかし、南斗様といえど、心は世人と何ら変わることのない不確かさをお持ちです。それが私を惹きつけに惹きつける南斗様の魅力なんですが。

 

、、、、、
南斗様のお力が、「人間」の領域をはるかに超えているのと同じように、、、
「恨み、憎む」ということにおいて、やはり人間の域を遠く離れた者たちがいるのです。いえ、離れているどころか別次元。隔絶の住人たち。
彼らと「力」で戦えば誰一人シン様に敵う者はおりません。その者たちは強さにあってはただの「人間」だからです。
ですが、その心の奥底、、いいえ、その心を全て満たすものは恐るべき怨嗟。事実であろうと嘘偽りであろうと、或いは虚無であろうと構いはしない。
ただ怨む相手がいればいい。ただ呪うために生きている者たちなのです。
呪いの中に生を受け、憎しみと共に生き、怨念と共に生を終える、、そんな生きた怨霊どもがいるのです。

この新しい世界、大乱世となっていてもその怨霊どもは誰一人欠けることなく世界戦争と災害を通過しています。誰一人として欠けておりません。
彼らの力はあらゆる組織、企業、宗教団体にさえ及んでおりましたから、情報も思いのまま。
これは私の憶測なんですが、先の滅亡の戦争さえ、彼らが関連しているのではないか?とさえ勘繰っているんです。


、、、、、
彼らはその憎悪のためならどんなことでもします。どんなことでもです。憎しみに任せ、どんなことも辞さない。人間の良心など毛先ほども持ち合わせていない。それが彼らの強さ。
一個の人間とすれば、それこそ兵士でもない彼らはただのひ弱な幽鬼に過ぎません。
ですが、彼らには他に数という強さもあります。彼ら自身は互いに憎み合っているのですが、大きな目的のため、つまりより強い憎悪のために団結している組織なのです。
南斗様がいかにお強くても、「人間」の部分には弱みがある。そこを突き、砕き、すり潰し、徹底的に粉微塵に破壊することに何の痛痒もないばかりか歓びさえ感ずる生きた邪霊ども!

人外の化生!
「人間」箇所を破壊すれば、南斗聖拳でさえも滅壊してしまうことを彼らは熟知しています。


彼らはこの世の全て、自分の生でさえも呪っているのですが、最も憎み忌まわしく呪うものがあります。
それは、、、

 

北斗神拳


かの大陸には北斗神拳の他に北斗を冠する拳、北斗琉拳なるものもあります。
北斗神拳の宿命というものが恐らくケンシロウ様、もしくはケンシロウ様に勝利する可能性を持つラオウ様を、そのもう一つの北斗との戦いへと導くでしょう。
その彼らならば「力」で北斗神拳を凌ぐことも可能かも知れません。
故に彼らはそのもう一つの北斗には触りませんが、その北斗が北斗神拳を討ったとすれば、怨霊たちの次なる標的はその北斗琉拳。彼らを呪殺すべく動くことでしょう。


、、、、
ユリア様は貴方様を生かし南斗聖拳の未来を託しました。
しかし、彼らは貴方様の生存を知るや、北斗神拳を滅ぼし得る可能性を持つ南斗聖拳を継ぐ男として監視対象に致しました。
もう一度言います。
彼らは「力」で貴方を倒すことは出来ません。しかし、貴方の「人間」部分を殺すことが出来るのです。手段は選ばない。全く以って、恐ろしいまでに選ばない。

唾棄すべき醜い悪魔たち!


この乱世、南斗六星の分裂があっても、サウザー様のお力がある故、奴らは呪詛を唱えながらも沈黙を通していました。
しかしサウザー様が死した今、南斗聖拳北斗神拳を倒す力はありません。
もう一つの北斗である北斗琉拳が敗れた場合、いずれ必ず! 奴らは南斗聖拳を引き継ぐシン様に接触して来るでしょう。

貴方を焚き付け北斗神拳抹殺のための道具にするためです。

 


奴ら、、
年月を経た恐るべき怨念の顕現、、、

 


南斗宗家が。