妄想北斗の拳

妄天の拳です。北斗の拳のイフストーリーを南斗聖拳シンを中心に妄想してます。

46.

しかし、変だ。
ケンシロウサウザーに合わせて特異な構えを見せたが、その後何らそれなりの技を披露していない。
あの構えにも意味がある筈だ。サウザーと同様に敵に対する敬意を表する意味であったとしても、まだ見せていない何かがある筈だ。なければおかしい。


サウザーが上段から下方にいるケンシロウに近付く。何やらと話しているのが見て取れる。
と、サウザーが僅かに身体を下げた。
鳳凰天翔!!
「とどめだ!ケンシロウ!!」

 

「!」
何かがおかしい。シンはその飛翔に違和感を持った。完全な筈のサウザーの飛翔術に小さなぎこちなさを見た。
そして他にも今回の飛翔はそれまでの二回とは異なる点があった。
猛烈な殺気を発している。サウザーがトドメに出たのだ。

「まずい!」
シンは思わず叫んでいた。
対決の直前に起きた小さなトラブル。サウザーは少年に脚を刺されている。
ケンシロウは既に北斗神拳の頂点にいると言ってもいいだろう。無論サウザーは南斗最強の男。
その頂点に立つ実力の拮抗した二人ならば!ほんの小さな「トゲ」が勝負を分ける!
今回のサウザーの飛翔には微少な遅れと固さがある!
仕留めにかかる先二回と異なる飛翔だからこそ、その小さな傷の影響が出たのか!?


そして遂にケンシロウが動く!
これまでのような迎撃とは違う。動く機が早過ぎるのだ。まだ間合いに入らない距離だった。

北斗神拳奥義!天破活殺!!」

ケンシロウが両手を強く、やや離れたサウザーに向けて押し出した!
落下中のサウザーが空中で一瞬静止し押し返され、同時にサウザー後方の石段が破壊された!

 

「わ、私の天凛掌波など比較にもならない。別格の威力と、、何より速さ! 弾丸、、、弾丸だ。闘気の銃弾!」

ケンシロウ見事!
ラオウの剛の氣による激流を遥かに凌ぐ速さ! サウザーの技を以ってしてもかわせない速さだ!
間違いなく北斗神拳の秘奥義であろう。
そしてサウザーがトドメに来る瞬間にこそ最大のスキがあるを見切り、それに合わせて撃ったのだ!
それにケンシロウ自身もサウザーの飛翔に遅れと固さを感じた筈!
いかに羽根と化す鳳凰拳の奥義とはいえ、肉体はもちろん実体。回避するにも限界があり間に合わない。その避けられない絶妙な瞬間を正確に冷静に狙っていたのだ!

北斗神拳、、やはりとんでもない拳ですね、、、」と蝙蝠さえ狼狽える。技の深さも、それを究め、使い所を誤らないケンシロウの拳技に対してもであった。


一方、サウザーにはそれほどのダメージは見受けられない。
背後の石段が破壊されていることから、相応のダメージが貫通したであろうことは疑いようがない。
すると、サウザーケンシロウにその背中を見せた。複数の傷が、それこそ銃創のような血が滴る赤い点がある。
ケンシロウの闘気弾はやはりサウザーの身体を貫通していた。
だがサウザーは背面に力、、筋力も闘気も含めた力を込め、全ての傷を塞いでみせる。そしてまた帝王の不敵な笑みで北斗神拳伝承者を見下ろした。

「あの様子だと闘気弾が心臓や他の内臓を損傷してはいないようですね」
「だがケンシロウの様子が気になる。あの落ち着きは、、、」
まさか既に決したか?

「!! サウザーがまた飛ぶ、仕掛けるぞ!」

が、、、、
サウザーが動かない。いや、どう見ても動けない、飛べないのだ。脚を封じられている!

「なんということか! 秘孔点穴だ! まさか闘気にて秘孔を突いたと!?」
冷静に考えてみれば不可能なことではない。経絡秘孔に北斗の陰の氣を走らせるということ、、直に触れずとも強力な闘気なら同じことが出来ても不思議ではない。
サウザーがトドメに移った瞬間を見極めて、そこからまさかの遠隔秘孔点穴。
一撃必殺の北斗神拳がその一撃で倒せない強敵ならば、少しずつ段階を踏んで相手を詰めていく、、、
秘孔の秘密を暴き、天翔を可能にする脚を封じる。

ケンシロウ恐るべき! 寒気がするほどだ。
怒りで熱い状態の筈でありながら、、しかもあのサウザーと必殺の氣を交わしている中で、冷静に倒す手順をなぞっていたのだ。


まさに最強の暗殺拳
北斗神拳!!