妄想北斗の拳

妄天の拳です。北斗の拳のイフストーリーを南斗聖拳シンを中心に妄想してます。

45.

南斗鳳凰拳奥義! 天翔十字鳳!!」


シンと蝙蝠の氣眼は鋭く強い光を放つサウザーを捉えた。この遠い距離でも圧されるような、斬られるようなサウザーの裂氣が射す。

「むう!南斗鳳凰拳に構えが!」
ラオウが唸る。
自身との対決でさえ構えを見せなかったサウザーケンシロウを対等の敵と認め構えを取った。

「シン様!しかしあれは構えというか、、」
「わかっている。南斗鳳凰拳はどこまでも制圧前進の拳だということだ。構えていても防御を意味するものではない」
あれはサウザーが脅威と認めた相手に対するある種の敬意と、そして真の力をこれから見せるという宣言だ。
でなくば両腕を広げた体勢などそれこそまさに無防備。自由度が減る分、構えなき構えとも言えない。

「おお!ケンシロウ様も何か構えを!」
その時!ガカッ!!
突然の落雷!!
続いて雹が降り始める。

何という男か、サウザー! ケンシロウ
こんな大舞台を飾る二人の主役。これほどの舞台に立てる資格はラオウにさえないだろう。
南斗極星の拳の伝承者と、そして南斗の父祖の拳でもある北斗神拳伝承者だけが上がれる舞台だ。


サウザー、、、
南斗鳳凰拳南斗聖拳であっても暗殺拳ではない。鳳凰拳だけはまさに帝の拳だからだ。
サウザーは悪虐だが陽の男。暗殺という汚れた仕事はしない。
サウザーはいつでもどこでも主役だ。奴がいればそこが花舞台となる。


激しかった雹が突然に止んだ。
南北、陰陽、表裏一体の決着がここにある!


「ここだ。南斗北斗の因縁の戦いがここで決する!」
「はい!そのようです!」

肉体の秘密を暴かれ、特異な位置にある経絡秘孔が浮き出た身体、そのサウザーが跳んだ! 鳳凰が雄々しく羽ばたいた!

何が起きる!!?

ケンシロウも迎撃に出、宙に跳ぶ!
「!!」
完全な間合いで撃ち込んだケンシロウの拳は空中にあって回避された。

あれだ!!
サウザーとやり合ったときに一瞬だけ見せた秘技!

着地したケンシロウはいつの間にか肩を裂かれている。ケンシロウ本人にも理解不能な状況のように見受けられる。

「だが浅い。あの程度ではケンシロウにさほどの影響はないだろう」
「まだサウザー様は遊んでいるのでしょうかね?」
サウザーにとってもケンシロウには一撃で倒すスキはないのか? それとも一撃で決めるという強い殺気により拳を見切られることを危惧してのことか?
、、、それだけではないだろう。ケンシロウの怒りの氣により強化された肉体は必殺の間合いでなければサウザーでさえ斬り裂けないのかも知れない。

いずれにせよ、現時点でのシンは高き二人を見上げるだけであった。


再びサウザーが舞う!今度は下から飛翔した!
ケンシロウは先ほどと違い単発ではなく百裂拳の連弾でサウザーの秘孔を捉えんとする!
が、、、やはりサウザーはそのままケンシロウの連弾を何事もないかのように被弾なくやり過ごしてしまう。
そしてまたケンシロウの肩を浅く裂く。

シンが唸る。
羽根だ、、あれはまるで羽根だ。何という技術!何という奥義! 鳳凰拳が最強たるはここにこそある!
サウザーから受けたフワリとした奇妙な感覚の正体、それは羽根だったのだ。飛翔術の極致に達し、羽根の如くに宙を舞っているのだ。
ただケンシロウの動きを見切っているだけではない。羽根の捉え所のない動きを肉体に転換させている。
「加えてあれは、」と蝙蝠がシンの心を読んだかのように引き継ぐ。
「多分ですが、サウザー様は氣の「羽根」を全身に纏っているのではないでしょうか? その「羽根」に触れるとサウザー様は半分無意識に回避を行う。センサーのようにね」
「そうであったとして、宙にて羽根の動きを為すなど誰にできようか」
シンは小さな痛みを左手に感じた。不自由な筈の左手を握り込み、その指先が掌を傷付けていたからだ。
サウザー、本当に鳳凰の羽根を纏うのか」
どこまでも、、、本当に、、、何という男なのか。